本研究は、明治以降の近代化に伴う技術革新が家庭生活にどのような影響を与えてきたのかを検討することを目的としている。
例えば、明治以降、家庭生活における燃料エネルギーは薪や炭から瓦斯・石油・電気へと大きく変わり、今日ではオール電化へと移行しつつある。こうした変化は、都市インフラの整備とともに各家庭へと浸透していくことになる。また、上下水道の整備も都市インフラの整備を経て各家庭へと浸透していく。こうした変化の中で、生活の場である住まいは大きく変化することになる。その変化は、初期段階では、単にそうした設備や器機が導入されることに終始するが、その後は住まいそのものを変化させる大きな要因となったと思われる。ただ、様々な技術革新の波が家庭生活を襲うが、総てが受け入れられたわけではなく、中には、拒否されたものもあるし、また、家庭生活に浸透することにより新たな技術革新を生み出す契機となる場合も考えられる。
このように、ここでは明治から戦後に至る期間の家庭生活に着目し、技術革新と生活の変化の関係を見ようとするものである。
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