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VIII. 鉱業・建設・窯業関連

主にガラス・セラミック・耐火物の技術を掲載しています

01 「板ガラス製造技術の系統化調査」 森哲 第9集 2007


 ガラスのない世界を想像するとどうなるか。建築物の内部は暗く、乗り物に乗って景色を楽しむことはできない。乗用車の利用は寒風、熱風、雨に曝されながらの難行苦行となり、ドライブを楽しむなど思いもよらないことになる。
 改めてガラスの恩恵を再認識させられるが、これらに使用される板ガラスは、現在、溶融した錫の上に、これも溶融したガラスを浮かべて造るフロート法に依っている。
 本論文は、この驚異的な革新技術に到る歴史を、長年板ガラスの製造現場で苦労した技術者がまとめたものである。
シリカ結晶、ガラス イメージ
シリカ結晶、ガラス
手吹円筒法 イメージ
手吹円筒法
「板ガラス製造技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.035)

02 「「多孔質ファインセラミックス」の産業技術の系統化」 金野 正幸 第12集 2008


 多くの製品分野で、その基本的技術を欧米に負っているのに比して、ファインセラミックス技術においてはわが国発の独自技術が多い。その淵源が、日本人が古来培ってきた陶磁器の技術にあることが与って大きいのであろう。
 ファインセラミックスは、電子・半導体、情報・通信、環境・エネルギー、自動車、医療・バイオなど現代の重点戦略技術分野の基盤となる必須材料であり、その製品分野は極めて多岐に亙る。
 本論文では、近年環境への関心の高まりのなかで大きな注目を浴びている多孔質ファンセラミックスを中心とした技術史について記している。
セラミックハニカム第1号 イメージ
セラミックハニカム第1号
高温集塵機 イメージ
高温集塵機
光触媒フィルター イメージ
光触媒フィルター
「「多孔質ファインセラミックス」の産業技術の系統化」(PDF)を見る(No.046)

03 「鉄鋼用を中心とした耐火物技術の系統化調査」
平櫛 敬資 共同研究編第3集 2009


 耐火物とは1500℃以上の高温に耐える工業用材料である。このような高温での操業は鉄鋼業の他、セメント、ガラスなどの高温化学、焼却炉等にみられるが、耐火物の需要は鉄鋼業に於いて圧倒的に高く、全体の70%を占める。耐火物は鉄鋼業とともに発展してきた。
 わが国の鋼材は他国の追随を許さないレベルにあるが、このことは高耐食性技術によって造られた耐火物なくしては不可能なことである。
 本論文は耐火物の原材料や製造のプロセス技術について、長年耐火物一筋に歩んできた技術者が纏めたものであり、味わいのあるものである。
電融マグネシア イメージ
電融マグネシア
成形プレス イメージ
成形プレス
焼成窯 イメージ
焼成窯
「鉄鋼用を中心とした耐火物技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.059)

04 「日本の工業化住宅(プレハブ住宅)の産業と技術の変遷」 東郷 武 第15集 2010


 プレハブ住宅(工場量産住宅)は第二次世界大戦後の住宅需要に応えるべく、研究が活発となり、企業化されたが、わが国以外の殆どの国で住宅の主要な工法として育つに到らなかった。
 日本でのみ低層住宅の分野で定着したのは、日本人の主要な生活様式が欧州諸国に比して都市でも低層戸建が中心であり、アメリカのように市場が散在しておらず、比較的狭い地域に集約されるという条件によるものであろう。
 本論文では技術史というよりも産業技術史的視点を中心にすえて、鉄骨系、コンクリート系、木質系のそれぞれについて論じている。
スーパーミゼットハウス イメージ
スーパーミゼットハウス
小堀ハウス イメージ
小堀ハウス
システムラーメン構造 イメージ
システムラーメン構造
「日本の工業化住宅(プレハブ住宅)の産業と技術の変遷」(PDF)を見る(No.063)

05 「セメント製造技術の系統化調査」 下田 孝 第23集 2016


 現代の建築やインフラを成す構造物にセメントは欠かせない素材である。セメントは石灰石と粘土などを焼成したものであり、技術自体の歴史は古く、ローマ時代にはすでに盛んに使われていたが、近代的なセメントは19世紀の初頭に英国で確立した。明治期に欧米からの技術導入で始まった日本のセメント技術は、昭和初期から徐々に独自技術に磨きをかけ、昭和40年代以降の大きな発展へとつながっていった。大型化、熱効率、連続運転性能に優れた独自の「NSPキルン」の開発等の実績を積み重ね、効率や品質で世界をリードするまでになった。1970年代以降セメント業界が直面した環境問題や省エネへの対応においても、独自技術の進化による取り組みが続けられている。

セメント工場全景

改良焼成法用石灰窯

NSPキルン
「セメント製造技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.093)

06 「凍土工学発展の系統化調査」 赤川 敏 第30集 2021


 「凍土工学」とは、地盤が冷却され負の温度になったとき土粒子の作る間隙に存在する水分が氷に相変化することにより起きる諸物性変化や現象を工学的に扱う学問である。1960年代後半に液化天然ガスの活用が始まると貯蔵タンクの周囲地盤が凍結することからその工学的な取り扱いについて研究が行われるようになった。これと並行して地下構造物が輻輳する大都市での地下工事において人工的に地盤を凍結させる凍結工法が行われ始めた。このような凍土活用技術の向上は日本における凍土工学が世界に類を見ないレベルに達していることが寄与しており、近年では凍結工法は標準的な地盤改良工法となってきている。本報告書では日本における凍土工学の発展のあらましをまとめた。
土中に成長したアイスレンズの偏光写真
土中に成長したアイスレンズの偏光写真
世界初のLNG地下タンクの断面図
世界初のLNG地下タンクの断面図
水平トンネル築造防護凍結工事の状況
水平トンネル築造防護凍結工事の状況
「凍土工学発展の系統化調査」(PDF)を見る(No.120)

07 「海域氷工学の系統化調査」 中澤 直樹 第31集 2022


 本報告書は雪氷の基礎的研究に始まり、耐氷構造物の設計や建造のために行われた研究、企業の技術開発と建造の現場を見ながら海域氷工学発展の過程を辿る。氷海構造物の設計や建造にはそこに作用する氷力を正しく評価することが求められるため、1970年代に海氷の工学的研究が始まり1980年代になると日本の造船技術と海氷研究が高く評価され北極海向け石油掘削リグの建造が日本で行われた。その後、1993年からは産官学によるJOIA氷荷重研究プロジェクトが行われ、その研究成果は国際的に高く評価された。地球温暖化と北極海の海氷の減少等に伴う北極域の科学技術研究での日本の役割は大きい。海域氷工学の技術発展史が今後の北極域における日本の科学技術の貢献の一助となることを期待する。
海上技術安全研究所の氷海水槽
海上技術安全研究所の氷海水槽
JOIA氷荷重研究プロジェクト 実海氷野外実験(北海道能取湖)
JOIA氷荷重研究プロジェクト 実海氷野外実験(北海道能取湖)
カナダボーフォート海の海氷中で稼働するMolikpaq移動式人工島
カナダボーフォート海の海氷中で稼働するMolikpaq移動式人工島
「海域氷工学の系統化調査」(PDF)を見る(No.127)

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