「武蔵野音楽大学楽器博物館」 に対する検索結果 : 30

情報所有館 : 武蔵野音楽大学楽器博物館 

前の10件 (21-30/30)

ヴィオラ・ダモーレ ヨーロッパ

17~18世紀に好まれた、「愛のヴィオラ」という名の弓奏楽器。ヴァイオリンと同様の構えで演奏される。当時のヨーロッパでは、東方貿易の降盛と共に、東洋文化への関心が高まった。この楽器に見られる様々な特徴、すなわち伝統的なヴィオールの形態とインドの楽器に多用される共鳴弦の使用、中世から愛の象徴とされる盲目の天使の彫刻とイスラムのシンボルである炎の剣型の響孔、それらはまさに西洋と東洋の融合であり、往時のオリエンタリスム(東方への憧憬)を垣間見ることができる。なおこの楽器は本学楽器博物館所蔵第一号。


ギター イーヴ作 フランス

アラベスク模様や幾何学的模様の象嵌が施された優美なバロック・ギター。弦は当初5コース10弦であったものが、後年6コース6弦に改造されている。初期のギターは複弦の使用が一般的であったが、その後開発された巻線の使用によって、豊かな音量がもたらされ、もはやオクターヴ重複により上音を補強する複弦の必要はなくなった。年代:1643年


ペダル・ハープ エラール社作 フランス

その起源は大古の狩の弓とまで言われるハープだが、華麗なグリッサンドが演奏できるようになったのは近年のことで、1811年、セバスチャン・エラールの2段階の半音変化を可能とする装置(ダブルアクション・システム)の考案以後のことである。太陽神アポロ、ダビデ王等古代から親しまれてきたハープだが、19世紀になって貴婦人達の間でも広く嗜(たしな)まれるようになり、写真の楽器からも窺うことができる典雅な装飾と美しい音色は、サロンに潤いと彩を添えたことだろう。年代:19世紀後半


トロンバ・マリーナ フランス

「船乗りのラッパ」という名称のこの楽器は、中世後期から18世紀にかけて使用された、西ヨーロッパで最も古い弓奏弦楽器のひとつ。奏者は床に立て、糸巻部分のすぐ下を弓奏し、左手親指で弦の勘所を軽く触れることにより、自然ハーモニックスを演奏する。これがナチュラルトランペットの倍音列を彷彿させることから、この名がつけられたと言われる。年代:(左)19世紀中頃(右)18世紀


木管楽器セット ベックハウト作 オランダ・パランカ作 イタリア

2本のソプラニーノ・リコーダー、及びそれぞれ3本の替管をもつフラウト・トラヴェルソとバロック・オーボエのセット。二人の名工によるこれらの楽器は黄楊材で、ジョイント部分や吹口は象牙で作られ、見事な装飾を施された革張りのケースに収められている。18世紀頃の音楽を愛好した上流社会の人々の間では、木管楽器セットで所有することが流行した。金箔などで贅(ぜい)をこらしたケースからは、この楽器を所有した人の華やかな暮らし振りが偲ばれ、興味深い。年代:1775年頃


コルネット ハイアム作 イギリス

19世紀初頭、ヴァルヴシステムの導入により、管楽器は飛躍的な進歩を遂げるが、同時に新しい楽器の開発も行われた。コルネットは1820年代のフランスで、ポストホルンにヴァルヴをつけることで誕生し、その明るく柔らかな音色が人々に好まれ、現代でもバンドなどで活躍している。さらにこのヴァルヴシステムは、単に管長を変え、音程を作るだけにとどまらず、管楽器に特殊な管を加え、音色の変化を狙う工夫にも応用された。写真下の楽器は、ヴァルヴ操作により、先細りの管からミュートをつけた音がでる仕組で、エコー効果を楽しむことができる。年代:1880年頃


シャルマイ VEBブラスファブリック製 ドイツ

1925年にドイツのマルティンが考案したことから、マルティン・トロンペーテとも呼ばれる。吹口から吹き込まれた息は、ピストン操作により、調律されたリードを付け根にもつ各ラッパへ送られる。そのため二つ以上の管を同時に鳴らすことはできない。その荒く鋭い音色から、もっぱら屋外で様々な組み合わせのバンドにより演奏される。東欧では「共産党のシャルマイ楽団」として脚光を浴びたこともあったが、今日では、主に学校の野外バンドとして利用されている。年代:1966年


セルパン キー作 イギリス

その形態に因み、ヨーロッパ各国で「蛇(セルパン)」と呼ばれた低音域用吹奏楽器。全体を革で覆った木製で、2mを超える長さからこの形が考案された。16世紀のフランスに登場し、当初は教会で聖歌の伴奏に使われた。声によく融け込み、響きに深みと豊かさを与える楽器として好まれたが、19世紀に入り室内楽や軍楽などに幅広く用いられるようになると、狭い音域や不安定な音程などから、やがてテューバの台頭に席を譲った。年代:1810年頃


サウン・ガウ ミャンマー

名称のサウンはハープを、ガウは曲がっていることを意味するミャンマー(旧ビルマ)の伝統楽器で、ネックの先端にみられる菩提樹の葉を模した装飾や、共鳴胴に施された精緻な彫金にかつての華やかな宮廷の趣味を伺うことができる。安座した右膝の上に乗せ、左手で音高を変化させながら右手で絹の弦をはじく。独奏から合奏、歌の伴奏等、幅広い分野で用いられ、今日でも主要な楽器となっている。日本では竹山道雄の小説「ビルマの竪琴」で、水島上等兵が「埴生の宿」を奏でた楽器としてよく知られている。


チャランゴ 南アメリカ

アンデス地方の歌の伴奏に欠くことのできないチャランゴは、インディオがアルマジロ(ヨロイネズミ)の甲羅を共鳴胴に利用して作ったギター系の楽器で、キルキンチョ(ケチュア語でアルマジロの意)とも呼ばれる。民族楽器の多くが、身近な入手しやすい素材で作られるように、私達にとっては珍獣アルマジロも、アンデス地方では食用に飼育された、ありふれた動物であった。しかし近年、種の保存のためにアルマジロが保護獣になり、現在チャランゴは木製胴のものだけが製作されている。


前の10件 (21-30/30)