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IX. 食品・医薬品・農林漁業関連

主に食品・医薬品・農林漁業等の技術を掲載しています

01 「醤油製造技術の系統化調査」 小栗 朋之 第10集 2008


 日常使われる「くだらない」という言葉は、醤油が本場であった上方から、下り醤油として江戸に送られていたころの「下るに値しない」という表現に由来するという。
 醤油の歴史の長さは、「醤」という文字が最初に現れたのが3000年前の周王朝の時代であるということから推察できるが、現在の基本的な醤油の製造法が確立したのは18世紀後半であると言われる。
 本論文は、いまやsoy sauce として世界中に広まった醤油の製造法の歴史を、緻密な文献調査によりまとめている。
醤油麹菌 イメージ
醤油麹菌
自動醤油詰機 イメージ
自動醤油詰機
NK式濾過機 イメージ
NK式濾過機
「醤油製造技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.040)

02 「アミノ酸発酵技術の系統化調査」 中森 茂  第11集 2008


 アミノ酸はタンパク質の構成成分で20種ある。その多彩な生物学的・化学的機能により、うま味調味料、医薬品、サプリメント、飼料添加物、化粧品等種々の分野で活用されているが、世界で初めて商品化されたのはグルタミン酸ナトリウムである。
 1908年に池田菊苗によって小麦のタンパク質、グルテンから製造する方法が発明され、商品化された。今日の「味の素」の誕生である。
 これらアミノ酸の生産法には現在、タンパク質の加水分解法、化学合成法、発酵法の3種があるが、中心は発酵法である。この発酵法は日本企業により開発された世界的レベルの技術である。本論文ではこの発酵法の技術史をまとめている。
グルタミン酸 イメージ
グルタミン酸
リジン塩酸塩 イメージ
リジン塩酸塩
池田菊苗博士の具留多見酸 イメージ
池田菊苗博士の具留多見酸
「アミノ酸発酵技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.042)

03 「肥料製造技術の系統化」 牧野 功  第12集 2008


 19世紀末にクルックス管で有名なウィリアム・クルックスは人口の爆発的増加に伴う食糧危機を訴え、これを解決するには空中の窒素固定から得られるアンモニア肥料による食糧増産以外にないと、警告と希望を述べた。
 それから十数年後、ハーバー法によるアンモニアの直接合成法が実用化された。結果として世界の人口は20世紀初頭の16億人から100年間に65億人に達した。
 本論文では、アンモニア合成とアンモニアを原料として製造される尿素合成についてその技術史を調査している。
旭化成の合成管 イメージ
旭化成の合成管
尿素 イメージ
尿素
アンモニアプラント イメージ
アンモニアプラント
「肥料製造技術の系統化」(PDF)を見る(No.047)

04 「酵素の生産と利用技術の系統化」 中森 茂  第14集 2009


 酵素はタンパク質を主成分とする生体触媒である。常温常圧の穏やかな条件下で反応を進める、生体から取り出しこの反応を試験管の中で再現できる、基質(原料素材)を厳密に選択する、熱などの過酷な条件下では失活する、などの特徴を有している。
 人間は酵素の実体を知らなかった古代から酵素を利用しており、チーズ、酒などのすばらしい製品を生み出した。日本は温暖湿潤なモンスーン地帯にあることから、特有のカビが生育し、醸造技術が発達した。清酒、ミソ、醤油などはその賜物である。
 本論文では、デンプンおよび糖質関連、タンパク質関連、アミノ酸関連など、現在工業化・市販されている酵素について、生産株、用途、酵素反応式等について記述している。
タカヂアスターゼ イメージ
タカヂアスターゼ
ガラクトシダーゼ イメージ
ガラクトシダーゼ
「酵素の生産と利用技術の系統化」(PDF)を見る(No.056)

05 「ビール醸造設備発展の系統化調査」 藤沢 英夫 第14集 2009


 仲間と誘い合って一杯やるときも、「とりあえずビールを」と言われるほど、ビールは最も親しまれているアルコール飲料である。
 ビールは5000年の歴史を持つと言われるが、日本で最初にビール作りが試みられたのは1853年、三田藩の蘭学者川本幸民にものとされる。本格的にビール生産が始まったのは明治期に入ってからである。当初はイギリスのエールタイプが大半を占めていたが、次第に日本人の口に合うドイツビールが台頭してきた。
 ビールの技術史を大きく分ければ、製造設備の発展を追うハード面とスーパードライ、一番絞り等に代表される品種の開発であるソフト面になるが、本論文では前者について記している。
酵母 イメージ
酵母
明治後期のビール濾過機 イメージ
明治後期の
ビール濾過機
仕込室(1960年) イメージ
仕込室(1960年)
「ビール醸造設備発展の系統化調査」(PDF)を見る(No.058)

06 「医薬品創製技術の系統化調査」 梅津 浩平 第22集 2015


 今までの人生で薬の世話になったことがない人はほとんどいないであろう。人類と密接な関係にある医薬であるが、その歴史は古い。本論文は医聖ヒポクラテスや古代中国の時代の医薬の記述から始まっているが、その中心はパスツール、エールリッヒ等によって拓かれた近代創薬にある。構成は大きく2つに分けることができる。3章までの、近代創薬にいたる一般的歴史と、4章の、生活習慣病の薬についての歴史記述である。因みに4章の対生活習慣病薬としては、糖尿病薬、降圧薬、高脂血症薬、血液系作用薬、痛風・高尿酸血症薬の創薬の歴史を綴っている。本論文を通して読んで感じることは、創薬の歴史には病原菌説、免疫、抗生物質などといった明確なパラダイムが存在することである。当然のことながら他の分野にもパラダイムは存在するはずであるが、医薬の歴史には明確にそれが見て取れる。このあたりを念頭に読めば、読み物としても結構面白く読める。
アスピリンの構造図 イメージ
アスピリンの構造図
ピタバスタチンの構造図 イメージ
ピタバスタチンの
構造図
生薬から現代薬までの流れ イメージ
生薬から現代薬
までの流れ
「医薬品創製技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.089)

07 「反転鋤込み耕(ボトムプラウ耕)技術の系統化調査」 田辺 義男 第23集 2016


 「農業は耕すことから始まる」といわれるように、耕起は農作業体系の中で非常に重要な工程である。耕起は潜在地力を引出し作物の健全な生育を実現するが、耕起の成否は耕す道具によるところが大きい。北海道では明治以来、西欧技術者の指導により畑作畜産を中心に畜力機械化農業が行われてきたが、昭和30年ころから食料確保という社会情勢に応える形で、トラクタによる機械化が急激に進んだ。本論文では耕起方法の一つである反転耕(ボトムプラウ耕)の技術について、農耕の歴史から機械化技術の進化までがまとめられている。

再墾型プラウ

3連リバーシブルプラウ

半直装式プラウ
移動風景
「反転鋤込み耕(ボトムプラウ耕)技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.095)

08 「臨床検査技術の系統化調査」 伊藤 道雄 第24集 2017


 病気になると誰でも病院を訪れ、医師に体調不良を訴えて診察を受ける。最近の医療現場では診察に際して、より迅速で正確な診断を期すべく、様々な検査技術が使用されている。聴診や触診など経験値に左右される伝統的な診察方法に加えて、物理学や化学の進歩は、生体を傷つけない体内観察や生体成分の分析の定量化を可能にし、医療分野での診断技術の高度化を推し進めてきた。これらの診断、測定技術は「臨床検査」と総称され、「細菌・細胞観察」、心電図等の「物理観測」、X線検査に代表される「画像観察」、血液検査等の「成分分析」という4つの分野に分類することができる。その中でも血液検査や免疫測定など、成分分析分野の発達に詳しく触れながら、臨床検査技術の発展の歴史を述べている。
デュボクス比色計 イメージ
デュボクス比色計
日立705型の構成 イメージ
日立705型の構成
ラテックス自動 イメージ
ラテックス自動
分析計LPIA-1
「臨床検査技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.098)

09 「抗生物質・抗菌薬創製技術の系統化調査」 草間 健 第25集 2018


 古代より病気といえばほとんどが いわゆる「感染症」のことであったが、その原因は全くわからず克服する技術は皆無であった。19世紀になって病原性細菌が多数の病気を引き起こすことが立証され、感染症への対処法や治療法が存在し得ることが明らかになり、医療そのものや薬学は重要な転換点を迎えた。幾つもの病原菌の発見や対症薬物の研究には、日本の研究者も重要な役割を果たし、その後の化学療法の進化や抗菌薬の創製に大きな貢献を果たした。ペニシリンやストレプトマイシンに代表される抗生物質の発見や創薬技術の洗練には、多角的な研究・開発が必要であったが、研究者の足跡を基本として歴史的な経緯を含めてこれらを系統化として論じ、個々の抗菌薬の特性等についても詳しい説明を加えている。
大規模培養槽 イメージ
大規模培養槽
ストレプトマイシン イメージ
ストレプトマイシン
バンコマイシンの作用機序 イメージ
バンコマイシンの
作用機序
「抗生物質・抗菌薬創製技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.107)

10 「抗がん薬創製技術の系統化調査」 鶴藤 真  第26集 2019


 「がん」は現在、日本人の死亡原因の1位に挙げられており、誰でも罹患する可能性のある病気といえよう。がんのメカニズムは複雑で全てが解明されているわけではないが、抗がん薬への理解の一助として、患者数の多いがんや死亡率の高いがんの基本的な事項についてまとめた。がん治療は手術によるがんの除去が19世紀後半から行われてきたが、再発を防ぐことはなかなか難しい課題であった。がんの研究が進むにつれ、1940年代頃から薬による治療が徐々に成果を上げ始めた。がん治療の流れを追う中で、がんがどう研究され理解されてきたかを述べ、研究の成果として生み出されてきた「抗がん薬」の成果について技術の系統化として述べた。さらに抗がん薬を作用のメカニズムによって分類し、個々の薬の開発の経緯を述べるとともに、最新の開発の方向性や、今後登場してくるであろう新たな薬の候補などについてもまとめている。
山極勝三郎博士 イメージ
山極勝三郎博士
免疫グロブリンG イメージ
免疫グロブリンG
リツキシマブ イメージ
リツキシマブ
「抗がん薬創製技術の系統化調査」(PDF)を見る(No.111)

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