「シマセイキ フュージョンミュージアム」 に対する検索結果 : 22

情報所有館 : シマセイキ フュージョンミュージアム 

(1-10/22)    次の10件

ウィリアム・リー靴下編機(1589年)

世界で最初に誕生したこの靴下編機は、1589年、エリザベス女王が統治する英国の牧師、ウィリアム・リーによって発明された。手編みが全盛時代の当時、職人が一分間に最高でも100目だったのに対し、リーの編機は600目も編めたそうである。彼は好意を寄せている女性がいつも靴下編みに熱中している姿に、靴下編みから開放して彼女の気を惹こうと考えた。彼の恋心が靴下編機を発明する動機となったといわれている。メリヤス産業の発展に大きく貢献した画期的な発明である。(展示機は1830年製マシンナンバー551号機)


指取り式手袋編機(1930年代)

日本での手袋製造の歴史は明治時代に遡る。スイス・デュビエ社の小横機(小幅の横編機)の輸入により、軍用手袋(軍手)の製造が始まった。指取り式手袋編機は昭和初期に作られた、不要なカムをなくして扱いやすく改造した手袋専用編機である。薬指から親指までの指を1本ずつ編んでは編針から取り外し、小指を編んだ後に指股の編目を重ね合わせて薬指から順に各指を編針に戻す、という方法から「指取り式」と呼ばれた。操作は熟練した技術が必要で、1日1人5~6ダースを生産するのがやっとであった。


五指連続手袋編機(手袋手首ゴム糸挿入装置)(1955年)

昭和7年「石川式手袋編機指取り不要機構」の発明により、5本指を連続して編めるようになった。指先から手首まで連続して編むのであるが、手首の形状に合わせて手首部分の編目を減らす目減らしは大変な手間を用していた。この手袋は伸縮性がなく、機械に巻き込まれた時に脱げにくいため事故が多発した。この課題の対応に「手袋手首部ゴム糸挿入装置」を考案し、手首部分を編む時にゴム糸を挿入することで目減らしの手間を省き、手首にフィットさせることを同時に叶えた。


手袋編機半自動動力装置(1960年)

五指連続手袋編機は、指と胴の各部分の目数を数えながら操作する必要があったため、1人で1台を操作するのがやっとであった。そこで新たに五指連続手袋編機(ゴム糸挿入装置)に動力をつけた半自動装置を連結させた。動力が加わったことと、縦型で省スペースな半自動装置の形状により、1人で3台の操作が可能となった。半自動装置の導入は人手を減らしながら効率を上げ、生産性の大幅アップを実現した。


全自動シームレス手袋編機(プロトタイプ)(1963年)

指先を丸形に編むためのシンカーニット方式を考案し、指先の手かがりがいらない全自動シームレス手袋編機が誕生した。しかし、当時の設備や技術力では精度が安定しなかったため、次の全自動手袋編機の開発に移行した。


全自動手袋編機(角型)(1964年)

全自動シームレス手袋編機から継承した、世界で初めてのシンカーニット方式は、錘(おもり)で編目が引き伸ばされた従来品とは違い、非常に伸縮性に富んだ、はめやすくて手にフィットする手袋を編むことができた。全自動手袋編機で編んだ手袋は、従来通り指先は角型に編むため、指先と指股のかがり作業は残ったが、1枚2分15秒(1ダース54分)というスピードで編めるようになった。また、誰でも使いやすい設計のため、1人で30台もの編機を操作することができ、驚異的な生産性の向上を果たした。一般社団法人日本機械学会より『機械遺産』として認定された。


全自動シームレス手袋編機・SFG(チェーン式)(1970年)

指先、指股の手かがり作業をなくした、手袋編機の完全自動化を実現した編機である。シンカーニット方式の開発により、指先を丸くうず巻き状に編むことで手かがり作業をなくし、ソフトな感覚に仕上げられた。作業用手袋を1枚あたり2分(1ダース48分)で編成し、納期短縮とコストダウンを実現、さらに指先が丸く指の感覚が伝わりやすい手袋となり、作業現場の安全性と生産性効率の向上に貢献した。SFGシリーズは初期型から、現在のコンピュータ制御する機種や、精密作業に適したウルトラファインゲージ手袋及び5本指靴下を製造する編機にも継承されている。


全自動フルファッション衿編機・FAC(1967年)

業界の課題であった衿の編み立ての省力化に成功した衿編機である。海外の大手企業の製品が衿を編むのに12分かかったの対し、この機械ではわずか5分で編み上げ、高い評価を得た。これはキャリッジを小型化して往復運動距離を短くし、独自に開発した編針とカムを複合化して、先行で目移ししながら後行で編めるようにしたからである。海外の横編機の模倣ではなく、日本で開発された機構により、海外の性能を超える横編機となった。


全自動セミフルファッション横編機・SF(1968年)

ベルト式セミフルファッション横編機。従来のチェーン式はキャリッジが一定ストロークにしか動かなかったが、ベルト式は停止や戻しが自由にできる。そのためキャリッジの空走りがなくなり、作業効率が約5倍アップした。本体を青や灰色ではなく、明るいベージュにしたことも画期的であった。油汚れが目立つので頻繁に拭くようになり、機械の調子もよくなる、という逆転の発想であった。


全自動シマトロニックジャカード手袋編機・SJG(1975年)

親指が掌の内側になるように自動的に編むことができるように開発された、画期的なフルファッション手袋編機である。試作機は、当時の旧東ドイツで開催されたライプチッヒ展に出展すると、画期的な機能とフルファッション性が評価され、ゴールドメダル賞を受賞した。従来のフルファッション手袋は、親指無しで編んだ後、あらかじめ別に編んだ親指を掌側に縫製していた。この方法は非常に手間がかかり、自動化が難しいと見なされていたため、これを実現した日本の技術力は賞賛された。ジャカード柄編みの手袋だけでなく、プログラム及びジャカードフィルムを変更することで、ミトンや靴下も編むことができる。


(1-10/22)    次の10件