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情報所有館 : 京都大学化学研究所 碧水舎 

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日本のビニロン工業の発祥を示す資料

「羊毛様合成一号(ビニロン)」は、国内技術で作られたポリビニルアルコールを原料として、櫻田一郎教授(当時京都大学工学部、化学研究所員兼任)らが1939年に発明した日本初の合成繊維。世界で見ても、2番目に発明された合成繊維である。紡糸実験装置(写真)は、 ビニロンの工業化に向けた実験のため1943年頃に作製されたもの。京都大学化学研究所では実験装置の他、新工場を建設する際に作成された計画書(設備費、原価計算等を試算)なども所蔵している。


モノビニルアセチレン法による合成ゴム

京都大学化学研究所が高槻に立地していた時期に試験生産された合成ゴム(NBR)試料。1937年から京都大学工学部の古川淳二教授(研究開始時は工学部学生、後に化学研究所員)が合成ゴム研究を開始して画期的なモノビニルアセチレン法を開発し、1942年7月から日産200kgの工業化試験を行い成功した。その後、この設備は住友化学工業新居浜工場に移され、NBRの生産に使われた。試料は長らく古川教授の手許にあったが、1982年に京都大学化学研究所と東京農工大学繊維博物館(現在の科学博物館)に寄贈された。


フィッシャートロプシュ法による人造石油製造に関わる資料

京都大学の喜多源逸研究室で、1927(昭和2)年から、フィッシャートロプシュ法(FT法)触媒の基礎的研究が開始され、入手容易で安価な鉄系触媒を開発。戦前・戦中の日本の石油不足を解消するため国策として工業化が進められた。児玉信次郎教授らが中心となり、京都大学化学研究所で中間工業試験、北海道人造石油の留萌研究所での加圧式による工業試験の成功(1942年)を経て、1944(昭和19)年8月北海道滝川市で鉄触媒本格炉の試運転が始まったが、まもなく終戦となった。化学研究所には人造石油試料(試薬瓶 6 本)と、合成用触媒(試薬瓶 4 本)のほか、実験ノートや実験装置の写真集などが残っている。


高圧法低密度ポリエチレンのパイロット試験資料

高圧法ポリエチレンの国産化が重要課題とされていたことから、1944年1月に京都大学の児玉信次郎教授らが研究を開始し、3月に少量の試料を得て終戦を迎えた。戦後、電電公社から研究委託を受け、研究を再開している。保存されている資料は1951(昭和26)~1953(昭和28)年に京都大学化学研究所で行われた高圧法低密度ポリエチレン連続工業化パイロット試験の設計図及び関連資料。実験ノート、設備写真とガラス乾板、1954年のものと推定される内部報告書などが残されている。


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