産業技術史講座
過去の講座

2005年度

開催日 テーマ/講師(所属) 講演内容
2005年
7月2日

「海上物流の変化と建造船の変遷」

吉識 恒夫
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 第二次大戦後、世界経済は著しく成長し世界各国間の貿易量は増大し、海上を移動する貨物量の急激な増加と同時に、貨物の種類も多様化した。海上荷動きを担う船舶は、輸送の効率化を目指し船型の大型化・輸送貨物に適する数多くの専用船が求められた。社会ニーズに応ずべく超大型タンカーをはじめ、鉱石運搬船、コンテナ船、LPG/LNG船、自動車運搬船など多種類の専用船が次々に建造された。海上荷動き貨物の変化を支えた、種々の専用船建造技術の変遷と建造状況につき紹介する。
2005年
8月13日

「ロボットの新世紀」

楠田 喜宏
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 ロボットは今までは工場の中で使われる「産業用ロボット」としてだけの存在だった。ペットロボット、家庭用ロボット、防災ロボットなどなど「21世紀はいよいよロボットが私たちの身の回りの一般社会で使われる新しい“ロボットの世紀”だ」という期待が高まっている。
・この潮流をどう理解するか
・私たちの社会・生活はどう変わるのだろうか
・私たちはどう対処していくべきか
などの問題を考える。
2005年
9月10日

「産業と暮らしを支える銅」

酒匂 幸男
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 古代文明は石器時代を経て、銅、青銅器時代、鉄器時代と発展してきたが銅は人類が最初に使った金属で、以来今日まで産業と暮らしの発展を支え続けている貴重な金属材料である。ここでは先ず@銅(銅合金を含む)がどのように使われてきたか銅の歴史を振り返り、A銅はどのような特長があるのか、B現在どのように使われているのか概要を説明する。
次に銅の製造法について製造の歴史を振り返りながら特に世界第2次大戦敗戦後今日までどのように発展してきたか又これからの課題は何かについて述べる。
1)銅の歴史
世界最古の銅製品。日本の青銅器時代。奈良時代から明治時代
2)銅の特長
電気の良導体。熱伝導性に優れる。展延性に富む。加工性が良い。抗菌作用がある。熱間鍛造性が良い。ばね性に優れる。磁気を帯びない。耐食性が良い。めっきや半田付が容易。美しい。
3)銅の製造工程
鉱石から製品(電気銅等高純度品)になるまでの製造工程の概要。日本の誇れる技術。日本国内鉱山の辿った道と原料調達の苦労。資源枯渇とリサイクルの重要性。
4)21世紀の銅産業のあり方
2005年
11月12日

「半導体の微細化と露光技術の進展」

高橋 一雄
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 トランジスタやICなどの半導体素子は、コンピュータ以外でも、家電製品から産業用の装置にいたるまで、多くの分野で利用されています。そして、その高度な半導体の微細化技術の恩恵に浴した製品の一例は、皆さんが使っている携帯電話でしょう。その手のひらにのる大きさに多くの機能が詰め込まれていますが、これを可能にしたのが、ハードウエアとしての半導体素子の微細化技術と実装技術、そして、そのハードウエアを駆動するためのソフトウエア技術です。
 今回は、ハードウエアとしての半導体素子をとりあげ、その微細化を可能にしたプロセス技術の一つである露光技術に焦点を絞り、年々微細化の一途をたどる半導体の歴史において、露光技術がどのように進展し、それを支えるために周辺の技術がどのようにかかわってきたかについて説明します。
2006年
1月21日

「進化するケイタイの変遷と展望」

森島 光紀
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 携帯電話は急速な進歩と普及でビジネス、生活、遊びを大きく変え、生活必需品として進化している。日本の携帯電話はインターネット接続、カメラ実装、おサイフケータイ、ナビ、放送との連携等で世界のリーデング国となり、「ユビキタス移動通信時代」を迎えている。
 今日の「ケイタイ」の基礎を作り出した100年の歴史、技術の発展過程、世界の標準規格活動、課題、今後の展望、「ケイタイとは何か」などを紹介する。
1.無線のはじまり、アナログ時代、デジタル時代、パーソナル時代の発展過程
2.自動車電話、携帯電話の端末機の技術変遷
3.世界の標準規格活動と特許戦争
4.課題と今後のユビキタスケイタイ端末の展望
2006年
3月4日

「わが国の電卓産業が歩んできた道」

瀬尾 悠紀雄
(前・産業技術史資料情報センター主任調査員)

 いま、机の引き出しには必ずある電卓。景品にもなった電卓。昭和39年、東京オリンピックの年に誕生した電卓は僅か10数年の間にあの電卓戦争といわれる激しい市場競争を経てIC,LSIを生み、液晶表示技術を生み出し、ともに世界トップレベルの技術力と産業規模をもたらしました。
 本講座では電卓産業がどのような経緯を辿って今日の技術が熟成されてきたか、その道のりを紹介します。